時をさかのぼること、一年前の春
去年の今頃、演劇部に一人の若者が演劇部に入部してきました。
その名を「沙兎烏君」と言い(君は名前じゃない)彼の話によると、どうやら高校時代からの
演劇経験者(役者)であるようでした。
「高校時代よりも、さらに高みを目指して、向上心を持って演劇に取り組みたいんです!」(沙兎烏談)
と己の意気込みを語っていた姿が印象的でした。
彼の持ち味は、その身体の柔らかさ。
サークル活動時間内に行われる柔軟体操では、部員のほとんどが舌を巻き、また、芝居においても彼の伸びと、バネのあるバランスの取れた動きは、観客を引きつけ、彼の特技が遺憾なく発揮された
結果となりました。
何時しか、人は彼を「噂のルーキー」と呼ぶようになったのでした。
しかし、そのルーキー沙兎烏は、国体ダンスに参加した際、その身体能力の高さを買われ・・・
なんと、ダンス部に引き抜かれていったのです(早!)
夏の演劇公演には参加したものの、ほとんど演劇部とダンス部の間を行ったり来たりしている
状態。早い話が掛け持ちですが、休む間もない過酷な状況下で彼の安否が気遣われました。
やっと彼が演劇に復帰できるようになるまでには、約半年の歳月をゆうに費やしていましたが、待ちに待った噂のルーキーの帰還により、春公演に向けての士気が高まった事は言うまでもありません。
公演には、商大サイドの部員や、ダンス部の方々の協力もあり
そして彼は、無事今回の春公演を演じきったのでした。
春公演も何とか終了し、4月も後半を迎えていたある日のこと・・・
岡本先生と言われる方の、教授就任祝いの席に(まだまだ他にもありますが・・・)自分もゼミの生徒ということもあって出席することとなりました。
その折、噂のルーキーともなぜかバッタリ顔を合わせる事に・・・。
実は、この「岡本先生」という方、ダンス部の顧問でいらっしゃり、当然、ダンス部の方たちもこの祝いの席に出席していたのです。
ゼミ生同士のたわいの無いおしゃべりに花が咲く中、自分はダンス部の方たちとこんな会話をしたように思います。(あまりよく覚えていませんが)
Y先輩【ところで、新入部員は入ってきたの?】
自分・【何人か入ってきました。でも、商大側のT先輩が卒業するので、男子部員が一人減
っちゃうんですよね・・・】
Y先輩【でも、男子部員なら他にもいるでしょ?】
自分【勉強に専念したいそうです】
Y先輩【えっ、そうなの?】
丁度その時、目の前の噂のルーキーと目が合ったので、自分は意を決して、ルーキー沙兎烏君に尋ねました。
自分【ところで、沙兎烏君。キミは次はいつ頃芝居に復帰できる予定?】
沙兎烏【そぉーすねぇー。夏にダンスの大会があって参加できませんし、12月には公演があるんで
再開できるのは、多分・・・・・・一年後になると思うッス】
自分【・・・・・・・・・・・・・・・】
沙兎烏【・・・・・・・・・・・・・・スイマセン】
(しばしの沈黙)
っという訳で、ルーキー沙兎烏はその実力を直隠しにしたまま大空へ飛び立ってゆく事となりました。果たして、噂のルーキーが、噂で無くなる日は訪れるのでありましょうか?
がんばれ沙兎烏君!今より大きくなって帰ってくるんだよ・・・・。
皆様、未知の可能性を秘めた沙兎烏君の一年後にこうご期待!!
劉皇
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